2012年11月8日国家食品医薬品監督管理局弁公室は、「医薬品専用ガラス製包装資材使用の注射剤に対する監督管理を強化する通知」([2012]132号)を発表した。同通知では、「バイオ製品、酸性、アルカリ性及びphに敏感な注射剤を包装する場合、121℃粒子法で防水性能が1級に達すると測定され、かつ裏面の防水性能がHC1級に達する医薬品専用のガラス製またはこれに準ずる包装資材を使用しなければならい」と明記されている。このことは医薬品包装業界に大きなインパクトを与えた。
1988年に発表された国際規格書「ガラス器具・容器裏面の防水性能に関する基準 第1部分 滴定法で測定と分級を行う」(ISO4802.1-1988)では、硼珪酸ガラスは酸化ホウ素(B2O3)含有量が5-13%であると定義づけられている。しかし、1997年に発表された「一般量産ガラスの成分の分類及びその試験方法について」(ISO 12775)では、硼珪酸ガラスは酸化ホウ素(B2O3)含有量が8%以上であると改めて定義づけられている。この新しい基準に従えば、我国の医薬品専用ガラス生産業界で長年使用されてきたB2O3の含有量が約6.5%のガラス製資材は中性酸化ホウ素ガラスまたは中性ガラスに分類できなくなった。それに、我国の医薬品品質に関する基準が向上するにつれて、酸化ホウ素含有量の低いガラス包装資材のリスクはますます注目されてきている。
国家食品医薬品監督管理局医薬品登録署楊勝氏は、「医薬品専用ガラス製包装資材使用の注射剤に対する監督管理を強化する通知」では「バイオ製品、酸性、アルカリ性及びphに敏感な注射剤を包装する場合、121℃粒子法で防水性能が1級に達すると測定され、かつ裏面の防水性能がHC1級に達する医薬品専用のガラス製またはこれに準じる包装資材を使用しなければならい」と明記されているため、この二つの1級に達する製品なら、包装業者はいずれも使用できると述べた。また、同通知にはあらゆる医薬品の包装で中性酸化ホウ素ガラスを使用しなければならないと書かれているわけではないと指摘した。
尚、同氏によると、同通知では、「医薬品包装専用ガラスの原料、成分、生産手順などを変更した場合、薬品とその包装用ガラスの適合性を改めて検証しなけばならい。医薬品包装専用ガラスを購入する都度、検査を行い、国家基準適合資材と確認できれば使用すること」と明記されているため、国家食品医薬品監督管理局は、業界の現状や業者による適合性実験の所要時間に差があることから正確に時間を統一できないなどの要素を十分考慮したうえ、同通知を発表した日から実施するよう各企業に求め、新型ガラス製包装資材の使用を促し、法律によって各種検査を実施する際にも業界の現状を充分考えるという。
同通知の公表後、国内の医薬品包装専用ガラスメーカーは素早い対応をとり、「二つの1級基準に達するための難関克服チーム」まで組んだ大手メーカーさえ現れたという。そのメーカーのチームによると、技術革新を通して、現在使用中の酸化ホウ素ガラスの品質を向上させ(酸化ホウ素の含有量を高め、ナカリウムの含有量を減らすことなどを目標とする)、「二つの1級基準」の達成は多少困難があっても、成功する可能性が高いとのこと。
(出所:中国医薬報 2012-12-26)