11月14日は国連糖尿病デーである。中華医学会糖尿病分会と国際糖尿病連合会は当日「中国糖尿病が社会経済に対する影響に関する研究」という報告書を共同発表した。報告書では、中国大陸での年間糖尿病治療費は1,734億元に達し、全国の医療総費用の13％を占めたと示している。

　　衛生部疾病予防コントロール局が参与した同研究の結果によると、今後の10～20年でこの費用は急速に上昇する見込みである。これは中国では診断を受けていない患者は約500万人おり、病気が見つかった際に、卒中、失明と腎臓疾病などの合併症が既に発生している可能性があるからのである。糖尿病患者の医療支出は同年齢で同性別、糖尿病を患っていない患者の9倍であり、疾病の経過が10年以上の患者の医療支出は1～2年の患者より4.6倍ほど高く、その家庭収入の22％は糖尿病の治療に支出されたと報道された。

　研究報告書によると、中国の糖尿病は発病率が急速に上昇し、また若者化の傾向が続いていることを明らかにした。現在、多数の患者は5年以下の病歴を持ち、まだ重篤な合併症が出ておらず、半数の患者が糖分を下げる薬物を使用していない。男性の患者の中で半数以上は喫煙者である。これによって合併症発生のリスクを2～4倍増やす可能性があると指摘している。

　糖尿病を予防するために、中国の専門家は積極的によりよい治療薬物と方法の模索に取り組んでいる。アジア糖尿病学会の副主席である楊文英教授は、現在、臨床で展開されているインクレチン治療研究は、Ⅱ型糖尿病の治療に新たな発想法を提供し、国際に注目されるホットポイントとなっていると述べた。彼女は、インクレチン型の新薬はインシュリンの分泌を促す同時に、インシュリンβ細胞の増殖と分裂を強め、その他の薬物の不足を補うため、持続的に血糖の目標値へコントールする為の条件を提供し、中国の2/3の血糖値を十分に制御していない患者にとって重要な意義があると指摘した。

（出所：中国医薬報　2010年11月18日）