中国の医療保険制度の絶えぬ改善に伴い、セルフメディケーションが薬品消費における割合はますます高くなりつつある。
消費者のセルフメディケーションのレベル向上はOTC市場の繁栄を促進した。統計によると、中国のOTC市場規模は1990年の19億元から2008年の1,295億元に伸びたことを明らかにした。中国は2009年に日本を越えて、アメリカに次ぐ世界二位のOTC市場になった。2020年に世界一位になると見込まれている。
消費スペースが広い
先進国では、セルフメディケーションを選ぶことが多数の消費者の習慣になった。あるアメリカ健康市場での調査によると、アメリカでは、81%の頭痛の症状がある患者、72%の風邪/咳の症状がある患者、68%の皮膚系疾病の症状がある患者は、最初にOTC製品を選んでセルフメディケーションを行うことが明らかになった。OTC市場の将来性は非常に明るい。
各国のセルフメディケーションの発展は、該当国の薬品分類管理を実行する経験と歴史に直接にかかわる。中国は2000年1月1日から処方薬と非処方薬の分類管理制度を実施して以来、これまでわずか数年間しか経っていない。それに対して、アメリカは早くも1951年に実施し始めた。それに比べてと、中国のセルフメディケーションは一層の改善が待たれている。
近年以来、中国のセルフメディケーション人数の割合も徐々に高くなっているが、先進国に比べるとやはり格差が大きい。中国の総数が4,600種以上にのぼるOTC製品の中、消費者が薬局から入手できる品種はわずか1,000種あまりしかなく、遥かにセルフメディケーションのニーズを満たすことができない。そのため、中国のOTC市場には広い発展スペースがあるはずである。ある統計の結果によると、中国のすべての外来患者の中、およそ10%の患者は病院へ診察を受けに行く必要がなく、セルフメディケーションで十分に問題を解決できるはずである。
外国ブランドは強みを見せている
中国のOTC市場を調べてみると、外国ブランドは圧倒的な優位性を持つことが明らかになった。中国のOTC市場では、最も早く進出したのは合弁企業である。中米上海SQUIBB製薬有限公司の解熱鎮痛剤である「百服寧」、上海ジョンソン製薬有限公司の「泰諾」などは中国のOTCで売れ行きがよい薬品である。しかし国内のOTC製品はブランドの知名度面において、遥かに外資系企業のブランドより立ち遅れている。
業界の発展が緩慢
中国OTC市場は急成長していると同時に、解決が待たれている問題も抱えている。業界関係者は、中国OTC市場の成長推進力は主に医療保険の規模拡大に頼っていると考えている。このことから、先進国ではOTC製品は普通医療保険リストに入ることができないが、中国ではOTC製品は臨床の需要もあり、安全有効で、低価額であるので、数多くのOTC品種が基本医薬品リストに入っているのも現状である。また、国民全員が医療保険をかけるとことからもたらされた薬品市場の規模拡大もOTC市場の規模拡大を促している。しかし、業界自身からの内生性成長推進力不足がこれから数年間の中国OTC業界の憂いとなった。処方薬に比べると、OTC業界の発展は比較的に遅い。資料によると、2007年、中国のOTC市場は11.5%伸び、処方薬市場は25.8%伸びた。2008年、OTC市場は6.8%伸び、処方薬市場は27%伸びた。2009年になると、OTC市場は7.7%伸び、処方薬市場は27.1%伸びたということが明らかになった。
そのほか、消費者がOTCに対する認知度の向上が必要。2008年、中国のOTC薬品の一人当たりの消費額は6米ドルであったに対し、アメリカ人の平均は70米ドル、日本人の平均は73米ドル、ブラジル人の平均は13米ドルであった。近年以来、中国のOTC消費レベルがどんどん上がっているにも関わらず、全体から見ると、一人当たりの消費レベルは依然として低く、中段途上国の約25%に当たっている。住民のセルフメディケーション意識とレベルの向上が期待されている。
(出所:中国医薬報 2010年11月01日)