2019年11月29日、国家医薬品監督管理局、国家衛生健康委員会は薬物臨床試験機構管理規定を発布した。内容は下記の通りである。
新しく修正された「中華人民共和国医薬品管理法」の規定によると、薬物臨床試験機構に対する管理モデルは資格認定から届出管理に変更された。国家医薬品監督管理局は国家衛生健康委員会と共同で「薬物臨床試験機構管理規定」を制定して発布し、2019年12月1日から施行する。
薬物臨床試験機構管理規定
第一章 総則
第一条 薬物臨床試験機構の監督管理を強化するために、「中華人民共和国医薬品管理法」、「中華人民共和国ワクチン管理法」、「中華人民共和国医薬品管理法実施条例」、「医療機構管理条例」および党中央弁公庁、国務院弁公庁による「審査承認制度改革深化と医薬品医療機器イノベーション推奨に関する意見」に基づき、本規定を制定する。
第二条 薬物臨床試験機構とは、関係条件を備え、「薬物臨床試験品質管理規則」(GCP)と薬物臨床試験関係技術ガイドラインなどの要求に基づき、薬物臨床試験を実施する機構である。
第三条 医薬品研究開発を従事する場合、中華人民共和国国内で国家医薬品監督管理局に承認された薬物臨床試験(届出後に実施する生物学的同等性試験を含む。)は薬物臨床試験機構で実施しなければならない。薬物臨床試験機構は本規定の条件を満たさなければならない。届出管理を実行する。薬物臨床試験にかかわる生体試料などの分析のみを行う機構は届出不要である。
第四条 医薬品監督管理部門、衛生健康主管部門は各自の職責を果たし、薬物臨床試験機構関係監督管理業務を担当する。
第二章 条件と届出
第五条 薬物臨床試験機構が備えなければならない基本条件は以下のとおりである。(一)医療機構開業許可証を有し、二級甲等以上の資格を有し、試験場所が所在地における衛生健康主管部門による病院エリア(試験場所)管理規定に適合しなければならない。 患者を被験者とする薬物臨床試験専門分野は、医療機構開業許可証における診療科目と一致しなければならない。健康な被験者向け第I相薬物臨床試験、生物学同等性試験は第I相臨床試験の専門研究室で実施されなければならない。
(二)薬物臨床試験の展開に相応しい診療技術能力を有すること。
(三)薬物臨床試験に相応しく、独立した作業場と臨床試験用薬局、資料室および必要な設備と施設を有すること。
(四)薬物臨床試験に関する技術法規を習得し、薬物臨床試験を担当できる研究者を有すること。そのうち、主要研究者が高級技術資格を持ち、3つ以上の薬物臨床試験に参加した経験を持たなければならない。
(五)薬物臨床試験を展開する専門分野がその薬物臨床試験に相応する病床数、外来患者数、救急症例を有すること。
(六)緊急且つ重篤な病症の救急と治療のための施設、設備、職員および処置能力を有すること。
(七)薬物臨床試験の組織と管理を担当できる専門部署を有すること。
(八)薬物臨床試験の実施に相応しい医療技術課室を有し、委託した医学検定機構は相応する資格を有すること。
(九)薬物臨床試験に関する倫理審査を担当する倫理委員会を有すること。
(十)薬物臨床試験管理制度と標準的な操作規程を有すること。
(十一)薬物臨床試験実施期間中における突発的事件の予防と対処を行うための管理メカニズムと措置を有すること。
(十二)衛生健康主管部門が規定する医療職員管理、財務管理などのその他条件を有すること。
薬物臨床試験機構は疾病予防制御機構である場合、省級以上の疾病予防制御機構でなければならず、本条第一項、第五項、第六項の条件を求めないとする。
第六条 国家医薬品監督管理部門は責任をもって「薬物臨床試験機構届出管理情報プラットフォーム」(略称は「届出プラットフォーム」。)を構築し、運営管理を行う。届出プラットフォームは薬物臨床試験機構の届出に使用され、医薬品監督管理部門と衛生健康主管部門による監督査察に関する情報の入力、共有、公開に用いられる。
第七条 薬物臨床試験機構は自らまたは第三者を招き、臨床試験機構としての専門的な技術水準、施設の条件および特徴を評価し、本規定の要求を満たしていると判断した上で、届出を行わなければならない。
第八条 薬物臨床試験機構は届出プラットフォームの要求に基づき、機構ユーザーとして登録し、基本情報表の記入を完了し、医療機構開業許可証などの資格証明書類を提出する。また、届出プラットフォームの審査をへて、アカウントを活性化させ、届出プラットフォームの要求に従い、組織構成、設備と施設、研究者、臨床試験専門分野、倫理委員会、標準的操作規程などの届出必須情報を入力し、評価報告書をアップロードする。届出プラットフォームは自動的に届出番号を発行する。
届出した薬物臨床試験機構が臨床試験専門分野を増やす場合、新しい専門分野評価報告書を作成し、届出プラットフォームの要求に基づいて関係情報を入力し、新しい評価報告書をアップロードしなければならない。
省級以上の疾病予防制御機構は所在地における予防接種資格を有する機構を試験実施場所として選択でき、関係評価を行い、届出プラットフォーム上で登録と届出を行う。臨床試験現場実施機構に対しての管理は臨床試験専門分野と見なし、管理を行う。
第九条 薬物臨床試験機構は届出プラットフォームに記入した情報の真実性と正確性に関してすべての法的責任を遂行しなければならない。届出済み薬物臨床試験機構の名称、住所、連絡先、連絡方法と臨床試験専門分野、主要研究者などの基本情報は社会に公開し、公衆が調べ、監督ができる。
第十条 薬物臨床試験機構の名称、住所、ランク、責任者、倫理委員会と主要研究者などの情報を変更した場合、薬物臨床試験機構は5勤務日以内に届出プラットフォームに要求通りに変更した部分を記入し、情報更新しなければならない。
第三章 運営と管理
第十一条 薬物臨床試験機構は届出を行った後、 関係法律、法規と「薬物臨床試験品質管理規則」の要求に基づき、登録住所と関係専門分野内で薬物臨床試験を実施し、研究の科学性、倫理遵守を確保し、研究資料の真実性、正確性、完全性を確保し、研究過程の追跡可能性を確保し、関係法的責任を果たさなければならない。疾病予防制御機構がワクチン臨床試験を実施する場合、ワクチン臨床試験品質管理に関するガイドラインに準じ、届出済み省級以上の疾病予防制御機構が薬物臨床試験を管理し、且つ主要な法的責任を果たさなければならない。試験実施場所である機構は直接法的責任を果たさなければならない。
第十二条 薬物臨床試験機構が設立または指定した薬物臨床試験実施、管理専門部署は、薬物臨床試験関係プロジェクトの立ち上げ、試験用医薬品管理、資料管理、品質管理などの関連業務を統括し、薬物臨床試験のクオリティを持続的に向上させなければならない。
第十三条 薬物臨床試験機構は、薬物臨床試験被験者の権益保護に関する責任を果たす主体である。倫理委員会は、薬物臨床試験プロトコルの科学性と倫理性、合理性を審査し、薬物臨床試験を行う研究者の資格と能力を確認し、薬物臨床試験の展開状況を監督し、倫理審査過程の独立性、客観性、公正性を保障しなければならない。倫理委員会は「人間にかかわる生物医学研究倫理審査規則」の要求に基づき、医学研究登録届出情報システムで関係情報を公開し、本機構と衛生健康主管部門による管理と国民の監督を受けなければならない。
第十四条 主要研究者は薬物臨床試験の実施および各研究者の職責履行状況を監督し、且つ関係措置をとって薬物臨床試験の品質管理を行い、データの信憑性、正確性を確保しなければならない。
第十五条 新薬第I相臨床試験または臨床リスクが比較的高く、臨床上で密接モニタリングが必要となる薬物臨床試験の場合、三級医療機構は実施しなければならない。ワクチン臨床試験の場合、三級医療機構または省級以上の疾病予防制御機構は実施し、もしくは実施を統括しなければならない。登録申請者が届出済み薬物臨床試験機構に薬物臨床試験の実施を委託する場合、受託の薬物臨床試験機構に対して自らまたは第三者を招いて評価を行うことができる。
第十六条 薬物臨床試験機構は、毎年1月31日までに届出プラットフォームに前年度の薬物臨床試験業務総括報告書を提出しなければならない。
第十七条 薬物臨床試験機構が海外の医薬品監督管理部門から薬物臨床試験の査察を受ける場合、査察を受ける前に、関係情報を届出プラットフォームに登録し、且つ査察結果を受け取ってから5勤務日以内に査察結果を届出プラットフォームに登録しなければならない。
第四章 監督査察
第十八条 国家医薬品監督管理局は国家衛生健康委員会と共同で薬物臨床試験機構国家査察員バンクを設立し、監督管理と審査評価の必要に応じ、職責を果たして薬物臨床試験機構に対する監督査察を行う。
第十九条 省級医薬品監督管理部門、省級衛生健康主管部門は薬物臨床試験機構の自己評価状況、薬物臨床試験実施状況、過去における監督査察状況などに基づき、職責を果たして所管行政地域内の薬物臨床試験機構に対する日常的監督査察を行う。新規届出済み薬物臨床試験機構または臨床試験専門分野追加、住所変更の場合、60勤務日以内に初回監督査察を実施しなければならない。
第二十条 薬物臨床試験機構が「薬物臨床試験品質管理規則」を遵守していない場合、「医薬品管理法」第百二十六条の規定に従って処罰する。
第二十一条 薬物臨床試験機構が本規定に基づいて届出を行っていない場合、国家医薬品監督管理部門は当該機構が完了した薬物臨床試験データを医薬品行政許可に用いることを認めない。
第二十二条 本規定に違反し、真実を隠し、重大な漏れが存在し、誤解を招く可能性があり、もしくは虚偽の情報を提供し、またはその他詐欺手段を講じて届出を行った場合、および欠陥が存在し、薬物臨床試験の継続に適さない場合、その薬物臨床試験機構または関係臨床試験専門分野の届出を取り消し、法律に基づき、対処する。
第二十三条 省級以上の医薬品監督管理部門、省級以上の衛生健康主管部門が薬物臨床試験機構に対して行った監督査察結果および処理状況に関しては、速やかに届出プラットフォームに記入し、且つ社会に公開しなければならない。
第五章 附則
第二十四条 薬物臨床試験機構届出番号の付け方は、機構届出番号+年代順番(4桁)+一般順番(5桁)となる。
第二十五条 中央軍事委員会ロジスティック部衛生局、中国人民武装警察部隊ロジスティック部衛生局はそれぞれ軍隊、武装警察に所属する薬物臨床試験機構に対し、本規定に定めた省級医薬品監督管理部門および衛生健康主管部門の監督査察職責を遂行する。
第二十六条 麻薬依存症の治療に使用する特殊医薬品に対して、特定機構で薬物臨床試験を実施する必要がある場合、当該機構が関係業務主管機構の認定した資格を有しなければならず、本規定に準じて当該機構を管理しなければならない。
第二十七条 医薬品監督管理部門、衛生健康主管部門は薬物臨床試験機構の届出および監督査察に対しては、費用を徴収しないとなる。
第二十八条 本規定は2019年12月1日から施行する。本規定の実施により、「薬物臨床試験機構資格認定規則(試行版)」(国食薬監安(2004)44号)、「薬物臨床試験機構資格認定照合査察業務実施に関する通達」(国食薬監注(2009)203号)と「使い捨てワクチン臨床試験実施機構資格認定管理規定の発布に関する通知」(食薬監薬化管(2013)248号)は同時に廃止する。
(出所:国家医薬品監督管理局サイト2019-11-29)